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エッセー
: ベスト・エッセー 2004/11
鈴の心を求めて
2004/11
板倉リさ(舞台女優)
私はもともと幼児洗礼を受けたクリスチャンでしたが、10歳を境に「天にまします我らの父よ」から、母から教わった「世界平和の祈り」に変わりました。
そんな私にとっての転機となる出来事が、今から7年前に起きました。
当時、私はミュージカルの舞台に立っていて、いよいよ出番直前という時に勢いよくすべり込むスライディングの振りを確認していた際、ひじを怪我してしまうアクシデントに見舞われました。その時は、無我夢中で本番を踊り、歌いきったものの、終演後すぐに病院に行き、翌日は片腕を包帯で固定しての楽屋入りでした。結局、テーピングをして、出来るところだけに出演するという部分休演の形をとることになってしまいました。周りのキャストたちは、公演日程もほとんど休みなく疲れ切っているような状態の中、怪我をして私だけが休むのが気に入らなかったようでした。今まで楽しかった仕事場で初めて味わった孤立に加え、今まで仲のよかった人が急に冷たい態度を取り始め、私はパニックになりながら、舞台では笑顔で演じなくてはならない、という試練が続きました。
そして約10日後、何度も何度も相談し、慎重に準備を整え、とうとう完全復帰する日の朝がやってきました。
一連のお祈り後、私は劇場に入る前に、それこそ一番気になっていた方に対して、人類即神也の印を組みました。ベッドの上に正座して息を整えてから、なるべくゆっくりと、自分が出来る限り、最高の印を組む決意をしてから組みました。そして楽屋に入った後は、まず関係者の前で復帰の挨拶をした後、すべての楽屋を回り、土下座して、私が舞台に対して迷惑をかけたことをお詫びしました。そんなことをするのは初めてでしたが、とにかく必死に勇気をふりしぼって挨拶したのでした。
その結果、今まで見たことも聞いたこともないような皆の思いがけない暖かい言葉や態度が返ってきて、肝心の相手さえ驚くほど変わったのです。
そして皆が舞台そでから見守る中、私はすべての場面を無事、踊り演じられたのです。
すると今までは気にもとめなかったような、人のもつ小さなやさしさ、ちょっとした親切やささやかな思いやりが、自分の心に暖かくじんわりとした安心感のように、広がってゆきました。その時に「これが愛なんだな」と感じたのでした。そして私も自分が受けた愛を、今度は人に返してゆきたいと思いました。
その後もさまざまな人生の山場を、この祈りと印で乗り越えてきて、今に至っています。
私は愛とともに、真実の祈りと印があってこそ、本当の自分が生き生き輝いてゆけるものだと、確信しています。
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