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エッセー
: ベスト・エッセー 2005/05
シクラメンの贈り物
2005/05
須藤東(東京都板橋区)
私はお花が大好きですが、節約生活なので、日頃は、道ばたの草花を摘んだり、植木屋さんが剪定をした後に落ちている木の枝を拾ってきたりして、花びんにさし、たのしんでいます。
去年の年末、もう道ばたに花をみつけられなくなったクリスマスの頃、私は花屋さんで300円という格安のシクラメンの鉢をみつけました。咲き残った花が5つ6つ、葉はほとんど枯れていますが、根元にはたくさんの蕾が、やがて花開くのを待っています。冬の間はこの花を少しずつ切りとって部屋に飾ればいい、と思いつき、買って帰りました。2、3本切りとって花びんにさすと、その白っぽいピンクのシクラメンは1カ月以上も長生きするのです。そのうち花びらのふちが、濃いローズ色でふちどられるようになりました。昼は陽の当たる窓の外に、寒い夜は浴室に入れてやると、とても元気になります。シクラメンは温度(あたたかさ)と湿気が好きだからです。
2月になって、東京に震度3の地震があった、夜明け前のことでした。その夜はなぜか眠れずにいたとき“グラッ”ときたのです。地震はすぐおさまりましたが、間もなく眼を閉じた視界の中に、私は二つの映像を見たのです。
映像を見るのは、初めてのことではありません。世界平和の祈りをするようになってから起こった視覚の変化でした。夜、眠りに入る前や、朝、目覚めたときなど、目を閉じた状態で意識があるとき、時々、映像を見るようになったのです。
たとえば、世界各国の平和を祈った日の夜、祈りをした国の国津神様方が、次々、お姿を見てくださったことがありました。ある外国の火山に対して祈りを捧げたときも、その山の精霊が出ていらっしゃいました。お礼にみえたのでしょうか‥‥。
映像はふつう、濃いブルーと白の二色ですが、時には鮮やかな総天然色のこともあります。
地震のあとは、続けて、ツー・ショットの映像でしたが、その2つ目は、美しくも見事に咲き揃った、赤いひとかたまりのシクラメンでした。“あっ、私のシクラメン!”その映像は、いつの日かあの蕾たちがいっせいに花開くことを知らせていました。
東京の今年の冬は寒く、春が待ち遠しい3月の初め、私は外国へ平和活動の旅に出ました。シクラメンの水やりをお隣さんにお願いして。
2週間後に帰国して、わが家の窓を開けたとき、あっと思いました。あのシクラメンたちが、みごとに咲き揃って私を迎えてくれたのです。小さかった蕾たちは、春の光を浴びていっせいに花開いたのでした。
神さまからの贈物でしょうか。
私の生活の中の、ちいさな、すてきな出来ごとでした。
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